2017.02.27

Writer:
田中

トレンドキーワード「働き方改革」

今回は第一生命のサラリーマン川柳でも傑作に関連の川柳が多く選ばれ
最近なにかと話題になっているキーワード「働き方改革」について触れたいと思います。

「働き方改革」自体はもう何年も前から推進されており、
調べてみると多くの会社がすでに様々な取り組みが行っているようです。
各社のアピールを見ると「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」の実現、
「ダイバーシティ(多様性)」の尊重という言葉が多く使われている気づきます。

確かに個々人にあった働き方を認めて仕事と生活の調和がとられた職場は
理想の環境の一つであると思います。
ただ、同時に私はこういった耳触りの良い言葉が飛び交う反面、
企業も従業員も本質的な部分の理解が薄いのではないかという危うさを感じます。

企業の取り組みだけで従業員の多様性、ワーク・ライフ・バランスを実現するために
とりあえず長時間労働問題をなくそうという世の中の風潮に乗り
即効果が見える方法、例えば人数増やす、仕事量を調整する、
問題を従業員に押し付け労働強化する(溢れた分を従業員がサービス残業する)
という安直な対策を行えば目の前で起きている長時間労働問題自体はなくなるかもしれません。
ただし、これらは同時に効率の低下、仕事の成果の質の低下、
優秀な人材が定着しない/育たないなど虚弱な体質になってしまいます。
また、最終的には従業員の大半が「忙しい中所得者」から「忙しくない低所得者」
最悪「忙しい低所得者」になってしまい掲げていた多様性の尊重、ワーク・ライフ・バランスも
実現されないリスクさえあります。
こんなものは現在の問題を他のものにしただけで「働き方改革」ではありません。

「働き方改革」の本質は企業と従業員が意図や理想の職場のビジョン(ゴール)をきちんと共有し
企業は従業員の生活の充実やモチベーションを高めるための取り組みを行う、
一方で従業員はその権利を享受するための義務として余裕ができた時間の一部を
きちんと仕事の質や効率を高めるための知識やスキルを磨くことにあてる
このサイクルをまわし徐々に現場の問題を解決・改善し、働き方自体を変えることにあり、
その状況を正しく維持・運用できて初めて経営状況、仕事の成果の質、従業員の待遇を犠牲にしない
本当の意味で「働き方改革」を実現できたと言えるのではないでしょうか。
(※あくまで私個人の持論です)

この記事を考えていた時にかつて世界の松下を一代で築き「経営の神様」と呼ばれた
松下幸之助氏が会社の業績が悪い時にあえて週休二日制を導入した際の言葉を思い出しました。

『教養がなければいい仕事はできない。しかし普段は忙しく、時間がとれない。
 だから、一日は休養、そしてもう一日は教養の時間にせよ』(いわゆる『一日休養、一日教養』)

週休二日制も発表当初は労働組合が懐疑的で猛反対をしたそうですが松下幸之助氏は辛抱強く
『一日休養、一日教養』の意図を説き、次第に周りもその意図を理解し、結果はご存じの通り
『事業は人なり』という名言を残した松下幸之助氏らしいエピソードです。

長くなりましたが「働き方改革」がトレンドキーワードになるほど必要性が訴えられている
今だからこそ、企業と従業員がお互い向き合い、改めて3年5年10年更にそれより未来を見据えた
目指すべきゴールを設定・共有し、意識して動き始めるいい機会なのではないでしょうか。